やけに前衛的な
桃太郎
むか~し、むかし、あるところに、「桃太郎」というお話がありました。
そのお話は日本に古くから言い伝えられ、「昔話」と呼ばれていましたが、
3人のコンテンポラリーダンサーと出会い、すっかり斬新さを取り戻したのでした。
めでたし、めでたし。
あなたをダンス観賞の深みへご招待する、マニアな話。今回は”衣装”
ピカソがデザインした舞台衣装を、あなたはご存じでしょうか。
20世紀初頭、バレエリュスという団体が、当時大活躍していたピカソ、マティスといった前衛芸術家を舞台美術に起用。衣装にも前衛芸術の風を吹き込みます。(Google検索→)
また同時期に、バウハウスという建築学校が舞台の領域に手を広げ、幾何学的な衣装で世の中を驚かせました。(Google検索→)
白鳥役のダンサーは白鳥の衣装、村娘役のダンサーは村娘の衣装、というそれまでの常識は、ここで崩れ去ります。
そしてせきを切ったように、モダンバレエの基礎となる傑作が次々と誕生しました。
前衛的なダンスをうみだしたのは、前衛的な衣装だったのかもしれません。
本作品では「前衛的な桃太郎」を表現するにあたり、この歴史をくんだ衣装を制作しました。
抽象的な衣装は、1人のダンサーが複数の役を演じることを可能にしてくれます。
また、最後のダンサーのポーズが「完」の文字になっているのに気付いたでしょうか?
幾何学的な衣装を活かせば、「文字」を演じることだってできるのです。
現代のダンサーは幅広い表現に挑戦することがゆるされています。
でもそれは、「衣装をもっと自由に」と運動し続けた、偉大な先輩たちのおかげなのです。
ダンサー(犬など) : 片山 夏波
ダンサー(猿など) : 仁科 幸
ダンサー(雉など) : 杉本 音音
紙芝居師 : 加藤 航平
声の出演 : 川端 幸至
撮影 : 野村 稔 ・ 福本 裕太
編集 : 野村 稔
衣装 : 秋山 きらら
紙芝居制作 : 加藤 航平
この作品は、K3CG-studioにて、2016年9月に撮影されました。